スレートのアスベストについて|アスベスト事前調査での確認方法や建材レベルを解説

アスベスト含有のスレート

住宅や建物のメンテナンス、リフォーム、解体工事を検討されている方にとって、屋根材や天井材として広く使われているスレート材にアスベスト(石綿)が含まれているかどうかは気になることだと思います。

特に平成18年(2006年)以前に建築された建物の場合、アスベスト含有建材が使用されている可能性があるため、工事の際には適切な対応が求められます。

本記事では、実際のアスベスト事前調査ではスレートについてどのような調査や判断を行うかをご紹介します。

要約

  • スレートは、「レベル3(非飛散性)」等の成形板に分類される
  • 平成18年(2006年)9月以前に製造・使用されたスレートにはアスベスト含有の可能性がある
  • アスベスト含有の判別には、「建築時期」「製品の品番やメーカー」「石綿含有建材データベース」の活用が有効である
  • 解体・改修工事を行う際には、工事の規模に関わらず、有資格者による「事前調査」が義務付けられている
アスベスト含有のスレート
目次

1 スレートとは?種類と建築物への利用状況

スレート材は、天然石材もしくはセメントと繊維質を混ぜ合わせて板状に成形した建材の総称で、下の表にある通り天然スレートと化粧(人工)スレートの二つがあります。

化粧スレートは天然スレートに比べてコスト面において安価で、高い耐久性や耐火性等があることから、主に屋根材や外壁材として、幅広い建築物に利用されてきました。

また、加工の容易さからさまざまな形状のものがあり、戸建住宅だけでなく、集合住宅や工場、倉庫などに幅広く使用されています。

表 スレートの種類

種類主な使用箇所
天然スレート粘板岩など屋根、外壁等
化粧スレート
(人工スレート)
・波型スレート(小波、中波、大波)屋根、外壁等
・スレートボード(フレキシブル板、軟質フレキシブル板、平板、軟質板)外壁、内装等
・住宅屋根用化粧スレート(平形屋根スレート、波板屋根スレート)屋根等

2 スレートのアスベストとは?発じん性と規制レベル

アスベストを含有する建材は、飛散性(発じん性)の高さに応じて、「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル」(厚生労働省・環境省)で区分されています。

アスベスト含有建材は、大きく分けて3つのレベルに分類されます。レベルについては、以下の記事をご参考ください。

スレート屋根材は、このレベル3建材に該当するため、解体やリフォームの際には、湿潤化や手作業による取り外しなど、飛散防止のための作業基準に沿って適正な工事をする必要があります。

参考記事

3 アスベスト含有スレートを確認する方法

3-1 書面による確認

実際の書面調査では、設計図面等の書面により建物の建築時期を確認します。

平成18年(2006)9月1日から石綿障害予防規則改正によりアスベストを0.1%を超えて含有するすべての製品の製造・使用等が禁止されました。

この時期以降に着工した建築物に使用されたスレート材については、アスベスト含有のおそれがないと判断して差し支えありません。

3-2 現地での確認

スレートについて実際の現地調査では主に以下の2点の情報を確認します。

  • 製品情報の確認

スレート製品の裏面や端部(小口)に、製品の品番・メーカー名・製造ロット番号といった情報が記載されている場合があります。

それらの情報を確認し、当該建築物に係った業者(設計・建設業者、建材メーカー等)へ問い合わせるか、国土交通省・経済産業省の石綿(アスベスト)含有建材データベースにてアスベスト含有の有無を確認できることもあります。

  • 製品の「aマーク」の確認

スレート製品の中には建材メーカーがアスベスト含有建材であることを示す「aマーク」表示されていることがあります。

このマークは建材の裏面に印字されており、アスベスト含有の有無を判断する一つの材料となっています。

図 aマークの表示

3-3 分析による確認

書面および現地調査の両方においてアスベスト含有の有無が確認できない場合は、その疑わしいスレート材を採取し、アスベスト分析の資格を有する専門業者へ分析を依頼し、アスベスト含有の有無を確認します。

4 解体・リフォーム工事における事前調査の義務と報告

建築物の解体、改修(リフォーム)工事を行う発注者および施工業者は、大気汚染防止法石綿障害予防規則などの法令に基づき、工事の規模に関わらず、事前調査の実施が原則として義務付けられています。

スレート材のような建材についても、その含有の可能性を確実に確認しなければなりません。

事前調査の具体的な手順や報告方法の詳細については、以下の記事でまとめていますのでご参考ください。

参考記事

5 まとめ|スレートのアスベスト調査は有資格者への依頼が不可欠

本記事では、建築物に使用される頻度の多いスレートについて実際のアスベスト事前調査ではどう扱うかを解説しました。

スレートにおけるアスベスト含有有無の判断や事前調査には、調査における専門的な知識と経験が必要です。

規制レベル3建材であっても、解体・リフォーム等工事を行う場合は有資格者による調査が必要になります。

弊社では、沖縄での調査実績が豊富な有資格者が調査を行います。スレート等の建材のアスベスト含有に関するご不安やご質問がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

よくある質問(FAQ)

自宅のスレートにアスベストが入っているか、自身で調査できますか?

建築図面やデータベースである程度の推測は可能ですが、法的な「事前調査」としては、建築物石綿含有建材調査者などの有資格者が行う必要があります。

スレートのアスベスト調査は、どのような工事の時に必要ですか?

解体工事だけでなく、塗装や一部補修などのリフォーム工事(改修)を行う際にも、アスベスト事前調査が必要です。

2004年(平成16年)に建てた家ですが、アスベストは含まれていますか?

完全禁止となったのは2006年9月ですので、それ以前の建物は有資格者による調査が必要です。

スレートのアスベストレベルは「レベル3建材」と聞きましたが、危険ですか?

レベル3(成形板)は、アスベストがセメント等で固められているため、通常の使用状態では飛散リスクは低いです。ただし、解体等工事時に切断・破砕すると飛散する恐れがあるため、適切な対応が必要です。

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