エアコン設置工事前に知っておきたいアスベスト事前調査と対策ガイド

家庭用・業務用エアコンを新しく設置したり交換する際、壁や天井に穴を開け配管を通すための工事を行う場合があります。

実はその工事、建材にアスベスト(石綿)が使われていないかを調べる「アスベスト事前調査」が必要な場合があることをご存知ですか?

アスベストは深刻な健康被害を引き起こすため、飛散させてしまうと家族や近隣住民の健康を危険にさらし、法令違反にも問われます。

この記事では、エアコン設置工事を検討されている方へ、アスベスト事前調査の必要性や流れなどについて分かりやすく解説します。

要約

  • エアコン設置工事で壁に穴を開ける作業は、原則アスベスト事前調査が義務
  • 既存の穴を再利用する工事などでは、アスベスト事前調査が不要になるケースもある
  • アスベスト含有の有無が不明な場合、「含有とみなす」を選択できるが、飛散防止対策の実施や費用対効果に注意
住宅に設置された家庭用エアコン
目次

1 家庭用エアコン設置前に必要なアスベスト事前調査とは?

1-1 事前調査が必要なケースと不要なケースの違いとは?

エアコンの設置工事といっても、すべての工事でアスベストの事前調査が必要になるわけではありません。

法令(大気汚染防止法や石綿障害予防規則)では、調査が必要な工事と不要な工事が区別されています。その違いを知っておくことが大切です。

  • アスベスト事前調査が必要なケース

エアコン設置工事で最も重要なポイントは、「壁に穴を開ける(穿孔する)作業」を伴うかどうかです。

室内機と室外機をつなぐ配管(ドレンホースなど)を通すために、電動ドリルなどを使って壁に新しく穴を開ける工事は、法令で定められた「改修工事」や「補修」にあたります。

この作業は、壁の内部にあるかもしれないアスベスト含有建材を損傷させ、アスベスト繊維を飛散させるリスクがあるため、原則としてアスベスト事前調査の対象となります。

  • アスベスト事前調査が不要なケース

一方で、アスベストが飛散する可能性が極めて低い作業については、アスベスト事前調査の対象外とされています。

エアコン設置工事では、主に以下のケースが該当します。

  1. 穴をあける作業が不要な工事
    既に設置されている配管用の穴をそのまま利用して配管を通す場合や、窓枠(サッシ)に取り付けるタイプのエアコンを設置する場合など、壁に損傷を与えない工事です。
    これらは新しい材料を追加するだけの作業とみなされ、アスベスト事前調査は不要です。

  2. ごく軽微な作業
    室内機を壁に固定するために釘を打つ程度の作業や、刺さっている釘を抜くといった作業は、「極めて軽微な損傷しか及ぼさない作業」として、アスベスト事前調査は不要です。
    ただし、同じ固定作業でも、電動工具(電動ドリルなど)等を使って壁に穴を開ける場合は、アスベスト事前調査が必要となるため注意が必要です。

このように、エアコン設置工事におけるアスベスト事前調査の必要性は、「電動工具等による穴あけの有無」が大きな判断基準となります。

自身の工事がどちらに該当するか不明な場合は、必ず施工業者に確認してください。

1-2 事前調査の流れ|依頼から報告書取得までのステップ

アスベスト事前調査が必要と判断された場合、調査は工事を請け負う施工業者(元請業者)の責任で、「建築物石綿含有建材調査者」などの資格を持った専門家を手配して実施されます。

調査は、発注者(居住者)からの資料提供を受けつつ、設計図書などを用いた「書面調査」と「現地での目視調査」から始まります。

なお「書面調査」において、自宅が2006年(平成18年)9月1日以降に着工された建物である場合、法律でアスベストの使用が原則禁止された後の建築物となるため、アスベスト対策工事は不要です。

ただし、工事の請負契約書などで着工日を証明できる書類(設計図書、登記簿謄本等)が必要になる点には注意が必要です。

アスベストの有無が不明な場合は、原則として建材の一部を採取する「分析調査」が必要ですが、費用や期間を考慮して「アスベスト含有とみなす」(みなし工事)ことも選択できます(「みなし」については2章で解説します)。

調査完了後、施工業者は結果を記載した報告書を発注者(居住者)に書面で説明し、その結果に基づき、安全対策(飛散防止対策)を講じて工事が実施されます。

2006年9月より前に建てられた住宅

2 アスベス含有と「みなす」工事とは?誤解されやすいポイントを解説

アスベスト事前調査でアスベストの使用が不明だった場合、「アスベスト含有とみなす」(みなし工事)を選択することもできます。

これは、分析調査にかかる費用や期間を省略し、その建材を「アスベスト含有」として扱うことです。

ただし、「みなし」を選択すると、実際には非含有でも法令に基づいた飛散防止対策(隔離養生、湿潤化など)が必要となります。

これにより、分析費用は不要でも、工事費用自体が高額になる可能性があります。

発注者(居住者)は、分析による確実な判定と「みなし」による飛散防止対策工事を比較し、費用や工期を考慮して施工業者と相談し判断することが重要です。

3 業務用エアコンの工事だと事前調査はどうなる?

自宅兼事務所や店舗などで業務用エアコンを設置する場合も、アスベスト事前調査のルールは家庭用エアコンと基本的に同じです。

壁への穴あけなど「改修工事」にあたる作業があれば、原則としてアスベスト事前調査が必要になります。

ビルや店舗は、一般住宅ではあまり使われない耐火被覆材などが使用されている可能性もあるため、施工業者による確実な調査がより重要になります。

エアコン工事で使用する工具

4 まとめ|安心してエアコンを設置するためのアスベスト知識

エアコン設置工事において、壁や天井に穴を開ける作業はアスベスト飛散のリスクを伴うため、原則としてアスベスト事前調査が必要です。

この調査は施工業者の義務であり、調査結果に基づいた適切な対策が、発注者(居住者)と施工業者の安全、そして法令遵守に繋がります。

アスベスト事前調査が不要なケースや、「みなし」による対策の費用対効果についても理解し、設置業者としっかり相談しましょう。

アスベスト調査・対策でお困りの際は、専門知識を持つ当社までお気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

エアコン工事でアスベストに係る調査は必要?

原則として、壁に穴を開ける(穿孔する)など、建材を損傷させる可能性のある作業を伴う工事は、アスベストの事前調査が必要です。既存の穴を利用する場合や、2006年9月1日以降に着工された建物はアスベスト事前調査における「書面調査」は必要ですが、アスベスト対策工事は不要とされています。判断に迷う場合は、必ず施工業者に確認してください。

調査後の工事スケジュールはどうなる?

調査結果によって大きく異なります。
・アスベスト「なし」と判明した場合:通常通り、飛散防止対策なしで工事が進められます。
・アスベスト「含有あり」または「含有とみなす」となった場合:法令で定められた飛散防止対策を実施する必要があるため、工期/費用ともに通常の工事よりかかります。また、作業内容によっては、自治体への届出が必要になるため、さらにスケジュールに影響が出ます。

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